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: スペクトルの引き算 : 実験データの解析に役立てる : ピークの情報のフィッティングによる導出   目次

較正直線の導出

前節で求めたピークの位置と幅は、 text_test04.gp の実行の最後に
print a12, a13
print a22, a23
print a32, a33
print a42, a43
とすることによって、画面に表示されます。

各ピークのエネルギーと、今フィッティングで求めたピークの位置およびその 精度(誤差)から、次のような較正用データのファイルを作ります。

0.6616  225.8051  0.0654
0.0323   13.3383  0.0581
1.332   445.3399  0.1301
1.173   392.8736  0.1289
今度はこのデータ(ここではファイル名を text_test05.dat とする) を用いて較正直線、

$\displaystyle x{\mbox{ [MeV]}} = c_0 + c_1 y{\mbox{[ch.]}}$ (7)

を求めてみましょう。 $ x$$ y$ が上の式で引っくり返っているのは、データの誤差が$ y$に ついていることを考慮した帰結です。 したがって、フィッティングのコマンドファイルは次のようになります。
e(x) = (x-c0)/c1
fit e(x) "text_test05.dat" using 1:2:3 via c0,c1
plot e(x), "text_test05.dat" using 1:2:3 with yerrorbar
pause -1
set xzeroaxis
plot "text_test05.dat" using 1:($2-e($1)):3 with yerrorbar
pause -1
結果は図18の通りです。 最後の部分でフィットの結果得られた関数とデータとの残差を表示させています。 左図を見ると、データ点は直線でよくフィットされているように見えますが、 残差をみると、フィットした直線は各データ点の誤差棒の範囲から大きく はずれていることがわかります。これは、厳密には較正曲線は 直線ではないことを示していて、より本格的な解析では 2次関数や3次関数を使うことになります105。(今回は直線で十分です。)

図 18: 較正直線と残差分布
\includegraphics[clip,keepaspectratio,width=0.4\textwidth]{gnuplot_fig/text_test05_1_new.eps} \includegraphics[clip,keepaspectratio,width=0.4\textwidth]{gnuplot_fig/text_test05_2_new.eps}