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: stexシステムの構成 : 計算機とネットワークの基礎 : 計算機の構成とオペレーティングシステム   目次


著作権とライセンス

OSもアプリケーションソフトウェアもすべてのソフトウェアは、著作物です。 したがって、ソフトウェアを使用するためには、著作権者から使用許諾(ライセ ンス)を得る必要があります。Windows や Mac-OS がプレインストールされた計 算機を購入すると、OSの入った CD-ROM の箱の中や表面に、使用許諾条件が書い た紙が付随し、「開封した場合に、使用許諾条件に同意したとみなす」というよ うな文言が書いてあります。もし、その使用許諾条件を守らないと、法的責任を 問われることになります。

stexで使用しているソフトウェアは、基本的には、フリーソフトウェアです。た だし、フリーソフトウェアの「フリー」という言葉には、「無償、タダ」という 意味と、「自由(freedom)」という意味があり、フリーソフトウェアの定義を厳 密にすることは、簡単なことではありません。また、最近使われ出した似たよう な言葉に「オープンソースソフトウェア」という言葉もあります。もちろん、フ リーソフトウェアやオープンソースソフトウェアであっても著作権は存在し、そ れぞれのソフトウェア毎に明確なライセンスも定められています。 ここでは、フリーソフトウェアのライセンスの中でも、歴史的にも大きな役割を 果たし、現在も広く使用されいる GPL (GNU General Public Licence) の内容を 紹介します。

GPL は、UNIX の世界で広く使われていて、本稿でも使い方を説明するテキスト エディター GNU emacs3 の作者であるマサチューセッツ工科大学のリチャード・ ストールマンが 1989年に発表した GPL version 1 から始まりました。その後、 ストールマンを中心に設立されたフリーソフトウェア財団(Free Software Foundation, FSF)によって、何回かの修正が加えられ、現在の最 新版は 2007年に発表された GPL ver.3 です。 GPLの概要は、次の通りです。

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ソフトウェアは、ソースプログラムとともに頒布し、著作権表示と無保 証を明記すること。ソースプログラムを付けずに頒布する場合は、ソー スプログラムを確実に入手できる方法を明記しなければならない。
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使用・複製・変更・譲渡・頒布は、無料で行うことが出来る。ただし、頒 布や複製に関しての手数料は請求しても良い。
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GPL ソフトウェアを変更して作成したソフトウェア、GPLソフトウェアの 全部または一部を利用して作成したソフトウェアは、GPL にしたがって頒 布すること。
stex で採用している OS である FreeBSD 自体は GPL ではなく、BSDライセンス です。BSDライセンスでは、無保証であることの明記と著作権表示だけを再 頒布の条件としています。 この条件さえ満たせば、BSDライセンスのソー スコードを複製・改変して作成したオブジェクトコードを、ソースコードを公開 せずに頒布することができるため、GPLよりも緩やかなライセンスになっていま す。